専門家よもやま話
「初めて・久しぶり・変更した」を探せ!

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中田 亨(なかたとおる)
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
https://staff.aist.go.jp/toru-nakata/

 事故を防ぐ効果的な方法として、「3Hの監視」が様々な業種で使われています。3Hとは、「初めて」・「久しぶり」・「変更した」というHで始まる言葉のトリオのことで、このどれかがあると事故が起こりやすくなるという強い経験則があります。

 「逆もまた真なり」で、事故が起きたとすれば3Hが存在していたはずだとすら言えます。2022年に知床半島で遊覧船が沈没する事故がありました。これはシーズン初めての運行であり、久しぶりの出航でもありました。通信手段は無線設備に故障があったため、携帯電話へと変更されていました。これら3Hがトラブルのリスクを呼び込み、対処を難しくしたのです。

 事故の少ない優秀な職場では、仕事に取り掛かる前に、3Hが潜伏していないかを調べています。朝礼で3Hがあるところをみんなで言い合って情報を共有するのです。そして、Hが見つかれば、そこの作業は一人だけに任せず、監督者が立ち合いをするなどして丁寧に進めます。

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