用語集

1.電気工作物

(1)電気工作物とは(電気事業法第2条第1項第18号)

電気工作物という用語は、電気事業法で規定され、発電、蓄電、変電、送電・配電又は電気の使用のために設置する機械(需要設備)、器具、ダム、水路、貯水池、電線路(鉄塔や電柱を含む)その他の工作物をいいます。

 

電気工作物は、次図のように一般用電気工作物と事業用電気工作物に区分され、更に事業用電気工作物は、電気事業用の電気工作物と自家用電気工作物に分かれます。(電気事業法第38条)

 

 

(2)電気工作物から除かれる工作物(電気事業法施行令第1条)

次の工作物は、電気工作物ではありません。

 

①鉄道営業法、軌道法若しくは鉄道事業法が適用され若しくは準用される車両若しくは搬器、船舶安全法が適用される船舶、陸上自衛隊の使用する船舶若しくは海上自衛隊の使用する船舶又は道路運送車両法第2条第2項に規定する自動車に設置される工作物であって、これらの車両、搬器、船舶及び自動車以外の場所に設置される電気的設備に電気を供給するためのもの以外のもの

 

②航空法第2条第1項に規定する航空機に設置される工作物

 

③①、②に掲げるもののほか、電圧30V未満の電気的設備であって、電圧30V以上の電気的設備と電気的に接続されていないもの

2.一般用電気工作物(電気事業法第38条第1項)

一般用電気工作物とは、次のものをいいます。ただし、小規模発電設備以外の発電所や爆発性・引火性の物がある場所に設置するものを除きます。

 

(1)一般住宅や商店等の電気を使用するための電気工作物であって、低圧(600V以下)受電電線路以外の電線路により構外の電気工作物と接続されていないもの。

 

(2)出力10kW未満の太陽電池発電設備など小規模発電設備(小規模事業用電気工作物を除く)であって、低圧受電電線路以外の電線路により構外の電気工作物と接続されていないもの。

3.小規模発電設備(電気事業法第38条第1項、電気事業法施行規則第48条第2項及び第4項)

令和5年3月に施行された法改正により、それまで小出力発電設備とされていたものが小規模発電設備となりました。その概略は次のとおりです。ただし、同一の構内でそれぞれの設備の出力の合計が50kW以上となるものを除きます。このうち、(1)太陽電池発電設備の出力10kW未満(同一構内に複数設置する場合の合計も同様)のもの及び(3)水力発電設備から(6)スターリングエンジン発電設備までについては一般用電気工作物とされています。

 

(1) 太陽電池発電設備であって出力50kW未満のもの

 

(2) 風力発電設備であって出力20kW未満のもの

 

(3) 次のいずれかに該当する水力発電設備であって、出力20kW未満のもの

・最大使用水量が毎秒1m3未満のもの(ダムを伴うものを除く。)

・特定の施設内に設置されるものであって別に告示するもの

 

(4) 内燃力を原動力とする火力発電設備であって出力10kW未満のもの

 

(5) 次の燃料電池発電設備であって出力10kW未満のもの

・固体高分子型又は固体酸化物型の燃料電池発電設備であって、燃料・改質系統設備の最高使用圧力が0.1MP(液体燃料を通ずる部分にあっては、1.0MP)未満のもの

・自動車に設置される燃料電池発電設備

 

(6) スターリングエンジン発電設備であって出力10kW未満のもの

4.小規模事業用電気工作物(電気事業法第38条第3項、電気事業法施行規則第48条第4項)

小規模事業用電気工作物は令和5年3月に施行された法改正により新たに規定されたもので、事業用電気工作物である小規模発電設備であって次の出力以上のものとなっていますが、(3)水力発電設備から(6)スターリングエンジン発電設備までについては 3.に示すように一般用電気工作物であり、小規模事業用電気工作物となるのは、10kW以上50kW未満(同一構内に複数設置する場合の合計も同様)の太陽電池発電設備と出力20kW未満の風力発電設備となります。

 

(1) 太陽電池発電設備 10kW(2以上の太陽電池発電設備を同一構内に、かつ、電気的に接続して設置する場合にあっては、当該太陽電池発電設備の出力の合計が10kW)

 

(2) 風力発電設備 0kW

 

(3) 3.(3)に該当する水力発電設備 20kW

 

(4) 内燃力発電設備 10kW

 

(5) 3.(5)に該当する燃料電池発電設備 10kW

 

(6) スターリングエンジン発電設備 10kW

5.自家用電気工作物

自家用電気工作物については、電気事業法と電気工事士法において規定されていますが、内容が両法で異なります。電気工事士法の自家用電気工作物は最大電力500kW未満で受電する中小のビルや工場等の需要設備が該当し、高圧受電が約94%を占めています(2020年度統計)。また、高圧から変圧器で降圧した低圧部分の電気工作物も自家用電気工作物に含まれます。

6.軽微な工事(電気工事士法施行令第1条)

次の工事は電気工事に該当せず、電気工事士の資格がなくても工事ができます。

 

(1) 電圧600V以下で使用する差込み接続器、ねじ込み接続器、ソケット、ローゼットその他の接続器又は電圧600V以下で使用するナイフスイッチ、カットアウトスイッチ、スナップスイッチその他の開閉器にコード又はキャブタイヤケーブルを接続する工事

 

(2) 電圧600V以下で使用する電気機器(配線器具を除く。以下同じ。)又は電圧600V以下で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル及びケーブルを含む。以下同じ。)をねじ止めする工事

 

(3) 電圧600V以下で使用する電力量計若しくは電流制限器又はヒューズを取り付け、又は取り外す工事

 

(4) 電鈴、インターホーン、火災感知器、豆電球その他これらに類する施設に使用する小型変圧器(二次電圧が36V以下のものに限る。)の二次側の配線工事

 

(5) 電線を支持する柱、腕木その他これらに類する工作物を設置し、又は変更する工事

 

(6)地中電線用の暗渠(きょ)又は管を設置し、又は変更する工事

7.電気工事士でなければ従事してはならない作業

(1)次の作業は、第一種電気工事士でないとできません。(電気工事士法施行規則第2条第1項)

 

①電線相互を接続する作業(電気さく(定格1次電圧300V以下であって感電により人体に危害を及ぼすおそれがないように出力電流を制限することができる電気さく用電源装置から電気を供給されるものに限る。以下同じ。)の電線を接続するものを除く。)

 

②がいしに電線(電気さくの電線及びそれに接続する電線を除く。(3)、(4)及び(8)において同じ。)を取り付け、又はこれを取り外す作業

 

③電線を直接造営材その他の物件(がいしを除く。)に取り付け、又はこれを取り外す作業

 

④電線管、線樋、ダクトその他これらに類する物に電線を収める作業

 

⑤配線器具を造営材その他の物件に取り付け、若しくはこれを取り外し、又はこれに電線を接続する作業(露出型点滅器又は露出型コンセントを取り換える作業を除く。)

 

⑥電線管を曲げ、若しくはねじ切りし、又は電線管相互若しくは電線管とボックスその他の附属品とを接続する作業

 

⑦金属製のボックスを造営材その他の物件に取り付け、又はこれを取り外す作業

 

⑧電線、電線管、線樋、ダクトその他これらに類する物が造営材を貫通する部分に金属製の防護装置を取り付け、又はこれを取り外す作業

 

⑨金属製の電線管、線樋、ダクトその他これらに類する物又はこれらの附属品を、建造物のメタルラス張り、ワイヤラス張り又は金属板張りの部分に取り付け、又はこれらを取り外す作業

 

⑩配電盤を造営材に取り付け、又はこれを取り外す作業

 

⑪接地線(電気さくを使用するためのものを除く。以下同じ。)を自家用電気工作物(自家用電気工作物のうち最大電力500kW未満の需要設備において設置される電気機器で あって電圧600V以下で使用するものを除く。)に取り付け、若しくはこれを取り外し、接地線相互若しくは接地線と接地極(電気さくを使用するためのものを除く)とを接続し、又は接地極を地面に埋設する作業

 

⑫電圧600Vを超えて使用する電気機器に電線を接続する作業

 

(2)次の作業は、第一種電気工事士又は第二種電気工事士でないとできません。ただし、補助する作業を除きます。(電気工事士法施行規則第2条第2項)

 

①(1)①~⑫の作業

 

②接地線を一般用電気工作物又は小規模事業用電気工作物(いずれも電圧600V以下で使用する電気機器を除く。)に取り付け、若しくはこれを取り外し、接地線相互若しくは接地線と接地極とを接続し、又は接地極を地面に埋設する作業

8.特殊電気工事(電気工事士法第3条第3項、電気工事士法施行規則第2条の2第1項及び同規則第4条の2第1項)

特殊電気工事とは、ネオン工事(ネオン変圧器、ネオン管等の工事)と非常用予備発電装置工事(原動機、発電機等の工事)をいいます。これらの工事は、他の電気工作物にはない専門的な知識や技能が必要とされることから、その作業に従事できると認定された者でなければ従事することができません。認定を受けるためには、次の要件が必要です。

 

・ネオン工事については、電気工事士資格に加え、5年以上の実務経験を有すること及びネオン工事資格者認定講習の課程を修了すること、又はネオン工事に必要な知識及び技能を有するかどうかを判定するための試験に合格すること。

 

・非常用予備発電装置工事については、電気工事士資格に加え5年以上の実務経験を有すること及び非常用予備発電装置工事資格者認定講習の課程を修了すること、又は一定の受験資格に加え非常用予備発電装置工事に関する講習の課程を修了すること及び非常用予備発電装置工事に必要な知識及び技能を有するかどうかを判定するための試験に合格すること。

 

認定の要件を満たすと、地域の産業保安監督部に申請し特種電気工事資格者認定証(ネオン工事又は非常用予備発電装置工事)が交付されます。なお、当講習センターでは、上記の講習を実施しています。

9.簡易電気工事(電気工事士法第3条第4項、電気工事士法施行規則第2条の3及び第4条の2第2項)

簡易電気工事とは、電圧600V以下で使用する自家用電気工作物に係る電気工事(電線路に係るものを除く)をいいます。低圧の電気工作物であっても、自家用電気工作物であるので、第二種電気工事士の資格のみでは簡易電気工事はできませんが、認定電気工事従事者であればその作業ができます。認定を受けるためには、次のいずれかが必要です。

 

(1)第一種電工事士試験に合格すること。

 

(2)第二種電気工事士等の資格取得後、3年以上の実務経験を有すること及び認定電気工事従事者認定講習の課程を修了すること。なお、当講習センターでは、同講習を実施しています。