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電気工事の事故防止(その2)

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                       全日電工連(全日本電気工事業工業組合連合会)
                     「電気工事技術者のための事故防止ハンドブック」より                  

              目  次

2.事故・災害を起こす要因

(1)ヒヤリ・ハット

(2)フェーズ理論

(3)専門的な知識や技術・技能の不足

 

2.事故・災害を起こす要因

電気工事における事故・災害の要因を大きく分けると物理的欠陥と人為的欠陥の二つがあります。

物理的欠陥は機器の欠陥や自然災害などの外的要因が含まれます。これらは、基準に適合した製品の使用、予想される自然災害などへの防護措置などによって対応できます。

人為的欠陥による事故・災害の主な要因はヒューマンエラーです。ヒューマンエラーとは「意図しない結果を生じる人間の行為」と定義されています。つまり、間違った製品の使い方や技術基準の規定と異なった施工などが含まれます。

このヒューマンエラーの発生要因には、いくつかの説明があります。

(1)ヒヤリ・ハット

人間の傾向として、確認をしなくても事故が起きない状態が続くと、おざなりの確認で済ますようになり、やがて確認作業が目的意識もなくマンネリ化し、作業も形式化、形骸化していきます。やがて、忙しいなどの理由で確認作業そのものを省略することが起き得ます。そうなると、特に注意されない限り、確認をしなくても大丈夫となってしまうかもしれません。

そのような状態で、事故にはならないがヒヤリとすることもあるでしょう。そういうことが増え、ときどき“危ないかな”と思うことがある。そういった状態に慣れてくると、たまに小さな事故が起きます。また、そういった小さな事故もありがちなこととして、何も対策を取らずにいると、やがて思いもよらなかった大きな事故を起こしてしまうのです。

これは、アメリカで損害保険会社において調査を行ったハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが事故調査から見つけた、大きな事故が起きるときの法則「ハインリッヒの法則」です。大きな事故の陰には、小さな事故が 29あり、その背後には300の事故にはならないが、ヒヤリ・ハットする事象が存在する、というものです(第2図)。

                             【図2 ハインリッヒの法則】

(2)フェーズ理論

安全人間工学の権威である橋本邦衛博士は、脳の働きによる意識のフェーズによって事故が発生する確率が高まるという「フェーズ理論」を説きます(第1表)。

                            【第1表 フェーズと注意作用、生理現象、信頼性の関係】

例えば、作業中の意識が散漫であったり、ぼんやりしていたり、体調や気分が悪い状態であるときに脳の働きは低下し、ヒューマンエラーの発生する確率が高くなるというのです。

ヒューマンエラーの対策としてフェーズⅡのノーマル、リラックスの状態で作業を行うことなどが挙げられます。

(3)専門的な知識や技術・技能の不足

電気工事を行う時には、電気設備の施工に必要な知識や技術、技能が求められます。その工事を行うのに要求される資格を有していない、有していても技術基準に定められた方法を行っていない、あるいはこれを知らなければ事故や災害が発生する可能性が高まります。

さらに、労働安全・衛生に関する知識の不足、あるいは知識があっても実際には行われていないことにより危険性が高まるでしょう。

これらを防ぐためには、必要な知識、資格、技術・技能の習得と定期的な確認、また知識等の更新、さらにそれらを実際の現場で使っていくことが求められます。

これら事故の要因をよく知り、具体的な対策をとっていく必要があります。

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