第一種電気工事士定期講習
第一種電気工事士の実技(技能)試験で押さえるべきポイントとは?実技試験の概要や必要となる道具を解説

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令和5年度公表問題の正解作品例(一般財団法人電気技術者試験センターHP)

1.第一種電気工事士とは何か

第一種電気工事士は電気工事法で定められている資格です。この法律は、電気工事士でなければ、一般用電気工作物小規模事業用電気工作物及び自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)に係る電気工事(軽微な工事を除く)の作業に従事できないとしています。第二種電気工事士は、一般用電気工作物及び小規模事業用電気工作物の工事に従事できますが、第一種電気工事士はこれに加え自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)の工事に従事できます。

2.第一種電気工事士になるためには

第一種電気工事士は一般財団法人電気技術者試験センターが実施する試験に合格することと3年の実務経験により都道府県知事から免状が交付されます。試験には学科試験と技能試験があります。実務経験は、電気に関する工事のうち、軽微な工事特殊電気工事、電圧5万V以上で使用する架空電線路工事及び保安通信設備工事以外の工事の経験となっています。試験の合格通知証と実務経験証明書を免状交付申請書に添付して住所地を管轄する都道府県知事に免状交付を申請すると免状が交付されます。

3.第一種電気工事士の実技(技能)試験について

3.1.試験内容

電気工事士の技能試験は、電線の接続、配線工事、電気機器、配線器具の設置等について試験が行われます。試験場では、絶縁電線・ケーブル、コンセント、スイッチ、コネクタ、リングスリーブ等が支給され、机上で持参した工具を使って出題された課題の配線図どおりに接続・組立作業を行います。第二種電気工事士技能試験と異なり、高圧の電線を配線する箇所も出題されます。技能試験に出題される課題は、候補問題として予め公表されます。令和5年度の例では、第一種電気工事士技能試験では10の候補問題が試験の6ヶ月前に公表されました。試験では、その中から1つ出題されます。第一種電気工事士技能試験の試験時間は60分(第二種電気工事士技能試験は40分)です。令和5年度公表問題と解答(作品)の例を次に示します。

3.2.受験資格

電気主任技術者免状等別の資格があり学科試験を免除される場合を除き、学科試験に合格しないと技能試験を受けることはできません。技能試験が不合格の場合、次の試験で学科試験は免除され技能試験をもう一度受けることができます。

3.3.合格率

第一種電気工事士試験の合格率を次表に示します。

同じ年度で学科試験の合格者より技能試験の受験者が多く、前年不合格の2回目の技能試験受験者がいることがわかります。技能試験の合格率は60%を超えています。

3.4.持ち物

技能試験受験者は、指定工具(ペンチ、ドライバ(プラス、マイナス)、ナイフ、スケール、ウォータポンププライヤ、リングスリーブ用圧着工具(JIS C 9711:1982・1990・1997 適合品))を持参し、課題作成作業に臨みます。

4.合否のポイント

試験終了後判定が行われ、未完成のもの、配置、寸法、接続方法等が問題と相違しているもの、誤接続・誤結線があるものなどの欠陥があれば合格となりません。電気技術者試験センターから「電気工事士技能試験(第一種・第二種)欠陥の判断基準」が公開されています。

5.合格に向けて押さえるべきこと

組立作業に取りかかる前に、出題された配線図(単線図)から結線をするために必要な複線図をできるだけ早く作成しなければなりません。これに習熟しておくことは重要です。技能試験に必要な工具や材料は、市販されています。電気工事の経験がない人や浅い人は、これらを入手して、公表された候補問題を中心に何度も練習し、試験に臨む必要があります。特に、第二種電気工事士技能試験と異なり、低圧に加え高圧関連の配線箇所が出題されます。このため、低圧より太い高圧の電線の切断・接続作業があり、慣れておく必要があります。電気技術者試験センターから「技能試験の概要と注意すべきポイント」が公開されています。WattMagazine-電気業界の就職支援サイト に技能試験に記事が多く掲載されています。

6.まとめ

電気工事士の試験には技能試験がありますが、電気工事を行うために必須の技能を確認するものです。第一種電気工事士技能試験と第二種電気工事士技能試験で異なるのは、第一種の方が高圧関係の配線箇所があることです。工具や材料が必要ですが、練習は個人で十分可能です。公表された候補問題を規定時間内で確実に完成させられるよう、事前に公表された候補問題を中心によく練習し試験に臨みましょう。

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