電気自動車用充電設備に係る電気設備の設計・施工ガイド
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- 39 - 3.3.2 雷保護 (1) 避雷器の設置 高圧以上の架空配電線については,受電電力の容量が 500kW 以上のものは引込口に避雷器を設置し,A 種接地工事を施す。(電技解釈第 37 条 1 項) 解 説 充電器は,屋側又は屋外への設置が想定されるため,落雷時の雷サージが充電器から建物へ侵入することが考えられる。逆に建物から充電器へ侵入することも想定し,対策を考慮する。 建物への雷サージの侵入経路は,アンテナ線,配電線,通信線,接地線のほか充電器からの侵入も想定される。建物内部への雷サージの侵入を防ぐためには,これらのすべてを避雷器やサージ保護装置(SPD)で接続することが必要となる。 各侵入経路のうち,高圧以上の架空配電線については,受電電力の容量が 500kW 以上のものは引込口に避雷器を設置し,A 種接地工事を施すよう定められている。また,雷害のおそれがない場合を除き,500kW 未満のものにも施設することとされている(高圧受電規程 2210-1 参照)。 避雷器は,公称放電電流 2,500A のものを使用する(高圧受電設備規程 2220-2 参照)。 (2) SPD の設置 低圧の配電線及びその他の雷サージの侵入経路には,必要に応じてSPDを設置する。(推奨) 解 説 高圧以上の配電線以外については,雷サージ侵入対策の義務はなく,建物の構造・用途,建築物内外の財産の重要度,落雷密度,環境条件などを考慮の上その保護レベルを設定し,JIS Z 9290-4(雷保護-第 4 部:建築物等内の電気及び電子システム),建築設備計画基準及び同設計基準並びに内線規程 1361 節を参照し,設置者( 施主側) の必要に応じて SPD を設置する。 JIS C 60664-1(低電圧電力システム内装置用絶縁協調-第 1 部 :基本原則,要求事項及び試験)では電力系統から屋内に侵入する雷インパルスについて,電気機器の施設箇所に応じてカテゴリⅣ~I(図3.3.3参照)に分類し,それぞれに必要なインパルス耐電圧(表3.3.3参照)を規定している。SPD はインパルス電圧をこれ以下に抑えられるものを選定する。充電器はカテゴリⅣの位置に設置されるが,一般的な電気機器としてとらえればカテゴリⅡの位置であるため,インパルス耐電圧について確認が必要である。

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